大阪大学微生物病研究所微生物制御学分野を主宰しております藤本です。微生物病研究所で研究室を主宰させていただくこととなり、大きな責任とともに、身の引き締まる思いでおります。ここまで導いてくださった多くの先生方のご指導・ご支援に、心より感謝申し上げます。
私は2010年(平成22年)に大阪大学医学部医学科を卒業しました。学部生の基礎医学講座配属(通称:基礎配または基礎配属)で審良研究室に配属された時から、免疫・微生物に興味を持ち、現在に至るまで医学研究者として研究を続けています。医師臨床研修制度の必修化や専門医制度の変革などもあり、学部卒業後の進路には色々と悩みましたが、ちょうど卒業した年に熊ノ郷先生(現大阪大学総長)が微生物病研究所から医学部に移って来られるということで、呼吸器・免疫内科学(旧第三内科)に入局し、免疫内科医となりました。大阪けいさつ病院、日本生命病院、大阪大学医学部附属病院での勤務を経て学位(熊ノ郷淳教授・竹田潔教授)を取得し、2017年からは千葉大学医学部、東京大学医科学研究所、大阪公立大学医学部(いずれも植松智教授)の教員としてこれまで研鑽を積んでまいりました。
次世代シークエンサーの飛躍的な進化により、メタゲノム解析の精度・網羅性・スピードはかつてないレベルに向上し、ヒト疾患と共生病原細菌(pathobiont)との密接な関連性が次々と明らかになっています。こうした技術的進展を背景に、私の研究室ではヒトマイクロバイオームの精緻な理解を通じて、免疫疾患をはじめとするさまざまな疾患の発症メカニズムの解明と克服に向けた研究を推進していきます。
本研究分野の発展には、実験(wet)系と情報解析(dry)系の両方に精通した、いわゆるハイブリッド型研究者の育成が不可欠です。微生物制御学の新たな地平を切り拓くべく、学際的視点を持つ次世代研究者の育成にも力を注いでいきます。
基礎研究と臨床研究の枠組みを越え、免疫学および微生物学の包括的な視座から研究を推進することで、近未来の医学・医療の発展に寄与することを目指しています。
2025年10月1日 藤本康介